目次
マリアナ海溝の謎!!海底に生息する生物!!
マリアナ海溝は世界で一番深い海溝と言われています。海溝とは海底が溝状になっている場所で、さまざまな深海魚が棲息している場所です。
海溝はいまだに人類の研究が行き届いておらず、新種生物の発見が時折報告されています。マリアナ海溝でも探索を行うと新種生物が発見されることが多いんです。



マリアナ海溝とは?

マリアナ海溝は北太平洋のマリアナ諸島の東にある、世界で一番深い海溝と言われています。
マリアナ海溝では太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に潜り込んでいます。
最深部は「チャレンジャー海淵」と呼ばれており、最新の計測結果では水面下10,911mという結果が出ています。これはエベレスト山がすっぽり入ってしまう深さなんです。
地球の中心からは約6,300kmの地点に存在していると言われています。
深度はどうやって測るのか?
皆さんは、マリアナ海溝など海中の深さを計測するのにどのような方法を使っていると思いますか?
科学が発達している現在だと、レーダーなどを使っていると思いがちですが、実は「爆弾」を使って計測しているのです。
この測定方法で、大西洋西部にあるマリアナ海溝意外に千島海溝、フィリピン海溝、ケルマデック海溝、トンガ海溝が深さ10,000m以上あることが確認されています。
ヘルダイゾーンに行ったことのある人間は3人
ジェームズ・キャメロン監督 単独でマリアナ海溝に到達 2012.03.26
科学が発達し、月面へ行く調査隊の人数と、深海へ行って調査を行った人数、どちらが多いと思いますか?
結果から言うと、月面へ行った人の方が人数が多いんです。これまでにマリアナ海溝へたどり着いたことのある人間はたった3人。
1960年に初めてマリアナ海溝の調査を行ったアメリカ軍の「トリエステ」という潜水艇に乗っていたジャック・ピカールとドン・ウォルシュ、2012年にマリアナ海溝に「ディープチャレンジャー号」に乗った映画監督のジェームズ・キャメロンだけなんです。
なぜ人はヘルダイゾーンへ行かないのか?
潜水艇はいけるのに、なぜ人がヘルダイゾーンに調査に行かないのか疑問に思ったことはありませんか?
海は水深に比例して水圧が高くなっていきます。そのため有人の潜水艇がヘルダイゾーンのような深部へ行く場合には、潜水艇内の気圧を一定に保たなければなりません。
水圧は10mで1気圧ずつ高くなるため、目的の深さの水圧に耐えるだけの強度を持つものを作らなければならないのです。
万が一深部で事故が起きた場合などを想定すると、身の危険が大きすぎるので有人での探索を行わないと考えることができます。
またロボット潜水艇でも十分調査を行うことができるようになったため、わざわざ身の危険を冒してまで行こうという人がいないとも言えますね。
マリアナ海溝は汚染されている?

地球上の環境破壊や環境汚染が話題になる昨今ですが、地上から遠く離れたマリアナ海溝が汚染されているという論文が、「ネイチャー・エコロジー&エボリューション」というオンライン学術誌に掲載されているんです。
この論文によると、
水深約7,800m~10,000mの場所でロボット潜水艇で捕獲した甲殻類から汚染物質の量を測ったそうです。その結果、中国国内でも汚染がひどいとされている遼河(りょうが)の水で生息しているカニの約50倍の汚染物質が発見されたそうです。
埋め立てや事故・廃棄・不完全焼却などによって、水中や地中に流れ出てしまっているものが、マリアナ海溝に流れ着いたのでしょう。
水中深い海溝は、人類による影響が出にくい場所と考えられていましたが、今までの地球環境汚染がとうとう最深部にまで影響を与え始めたというのは悲しいことですね。
海溝は水の流れがほとんどなく、外部から水が流れ込むことも少ないので、化学物質はたまっていくと考えられます。そうなると、今後深海でも汚染された生物が発見される可能性も出てくるのではないでしょうか。
深海は「キモ可愛い」生物が多い
【閲覧注意】不気味で怖い深海魚39選(変わった水生生物画像まとめ)
マリアナ海溝だけに限らず、世界中の深海で「キモ可愛い」生物が発見されています。中には幻想的な雰囲気を漂わせているものまで存在しているんです。
深海魚の特徴は「目が退化している」、または「目が大きい」ことでしょう。
また海の表層域のような光が当たる場所に生息している魚にはみられない「発光器」を持っているものもいます。
水圧が高いため、筋肉や骨などの組織の発達が不十分なものが多いですが、内臓にビタミンのような有効成分を持つものが多く、利用価値が高まっているそうです。
深海になると、水上から餌が降ってくることが少ないことや、外敵がいないことから長寿で、大きくなる種類が多い傾向にあります。
一般には深海層は水深3,000m~6,000mとされていますが、ここでは水温は常に1~2度で気圧が300気圧を超えるため、生き物の細胞活動に影響が出てきます。
マグロのような遊泳性のある魚は姿を消してしまい、海底付近を泳ぐアシロ科やクサウオ科、ソコダラ科の魚が棲息しています。
6,000mを超えるヘルダイゾーンでは、水圧が600気圧を超えてしまい、深海層を泳ぐ魚のごく一部のものしか生息していません。
合わせて読みたい記事
マリアナ海溝で発見された新種の生物をご紹介!
2012年・2014年にマリアナ海溝で発見され話題になった生物が2ついます。この2つの生物についてご紹介しましょう。
新種のクラゲ
Jellyfish: 2016 Deepwater Exploration of the Marianas
2012年に映画監督のジェームズ・キャメロン監督がマリアナ海溝に潜った際、新種のクラゲが発見されています。
このクラゲは水深3,700mのところで発見されたそうです。まるでCGで合成したかのようなカラフルな色を持つクラゲで、ヒドロクラゲの仲間ではないかと憶測されていますが、いまだに正確な種類の特定ができていないクラゲです。
クラゲは有櫛動物門と刺胞動物門に分かれます。この刺胞動物門も大きく3つに分類され、その中で一番原始的だと言われているのがヒドロクラゲ類と言われているんです。
ヒドロクラゲ類にはカツオノエボシやマミズクラゲといった、一般的によく知られているクラゲも存在します。
刺胞動物門の鉢クラゲ類にはミズクラゲ、エチゼンクラゲなど、立方クラゲ類にはハブクラゲなどがおり、感覚器が発達し網膜のある眼を持っています。
オタマジャクシのようなマリアナスネイルフィッシュ
Amazing discovery: Deepest ever fish found Sea ghost breaks record for deepest living fish
2014年にマリアナ海溝の水深8,145メートルの位置で、真っ白な大きなオタマジャクシのような姿をした魚の群れが発見されています。今まで8,000メートルとなると水圧が高すぎるために、魚はいないと考えらえれていましたが、今回のこの発見でこれまでの考えが覆されたといえますね。
頭が大きいわりに眼が小さく、鱗を持っていないようです。ヒレが羽のように広がり、ゆらゆらとした泳ぎ方をしているのが幽霊のように見えるため、「ゴーストフィッシュ」と呼ばれることもあるようですが、「マリアナスネイルフィッシュ」と呼ばれています。
2014年に発見したときは、画像のみで不明な点が多かったのですが、2017年の再調査で捕獲することができ、少しずつ謎が解明されつつあります。
マリアナスネイルフィッシュは体に鱗がない代わりに、ゼラチン物質で体が覆われています。このゼラチン物質には「TMAO(トリメチアルミン-N-オキシド)」と呼ばれる物質が含まれているのですが、この物質が水の分子と結合することで外圧からの圧迫を防ぐことができ、圧迫されなくなるため、体のタンパク質の機能が停止するようなことがなくなるのでマリアナ海溝の深部で生きていくことが可能になります。
TMAOは水深が深い場所になっていくに従い、保有している量が増えていく傾向にあります。最深部で生きているマリアナスネイルフィッシュは、今まで発見された深海魚の中では保有量は最高値といえますね。
マリアナ海溝で発見された生き物たち
Life in the Mariana Trench
2014年に行われた調査ではマリアナスネイルフィッシュ以外の生物も記録されています。
動画に登場する順に紹介していきましょう。
水深5,040m:ソコダラ科の深海魚

ソコダラ科の魚はタラ目に分類される魚です。種類が多く、ソコダラ科だけで4亜科・38属・396種類もあります。
ほぼすべての深海域に棲息していると言われていますが、水深200m~2,000mに生息していると考えられています。
体は前後に伸びていて、尾が紐状で尾ひれがなくなっているのが特徴です。ソコダラ科の魚は尾ヒレは骨格レベルでなくなっているものがほとんどで、あごにヒゲがあります。鱗はありますが一般の魚と比べると小さく、種類によっては発行器を持っている者もいるんです。
平均的に体調は80cmほどと言われていますが、中には1.5mほどにまで成長する種類もいます。
水深4,998m:キングクリップの仲間と思われる魚
キングクリップは「ピンク・カスクイール」とも呼ばれることがあります。アシロ目・アシロ科の魚で「リング」と呼ばれることもあり、体長は1m~2mほどで南半球では食用にされている魚です。
日本にも食用として輸入されていますが、知名度は低いので知っている人は少ないでしょう。白身魚で、淡泊な味の魚です。
表層域~水深1,000mほどのところで生息しているのが確認されていましたが、今回の発見でさらに深い水深でも生きていけることが確認されたのではないでしょうか。
体はウナギのような円筒形に近いですが、動体が太く大きいです。尾に向かって段々と体は細くなり、背びれ・尾びれ・尻びれがつながっているのが特徴です。
体の色は薄いピンクで、お腹側は白に近く、背中側は褐色に近い色をしています。背中には斑紋や帯状の模様があり、口にヒゲがあり、頭の大きさのわりに眼は小さめです。
深海では海底付近にいることが多く、他の魚や甲殻類を食べていると言われています。
水深6,010m:エビ
水深6,010mで撮影されたエビには赤い色がついていて一見普通のエビのように見えますが、深海に棲息する生き物は通常よりサイズが大きくなるのが普通なので、大きさは通常私たちが目にするものよりも大きいと考えることができます。
水深5,040m:ソコダラ・キングクリップ・ゲンゲ科の魚

ゲンゲ科の魚はスズキ目に属する魚で、46属・230種類が確認されています。大半は北半球の寒い海域に生息していますが、世界中の海で確認されています。
ゲンゲ科のほとんどは海底を泳ぐタイプで、浅い場所から深海と幅広い水深に存在しています。
主に砂や泥に埋もれている貝や多毛類を食べていますが、大型の種類になると棘皮動物や、他の魚も食べるものもいます。
ウナギに似た細長い体が特徴的で、体長は数十cm~1,1mと種類によって差があります。口は顔の正面ではなく吻の先か下向きについているという特徴があり、鱗はありますが非常に小さいため皮膚に埋もれてしまっています。
水深6,141m:端脚類エビ
この水深で発見されたのはヨコエビだと思われますが、周囲にいる深海魚と大きさを比較しても大きさが通常レベルをはるかに超えているのがわかります。色が白いのはやはり光が届かないためと言えるでしょう。
水深7,012m:ソコダラ・エビ・クサウオ科の魚

クサウオ科の魚はカサゴ目に属する魚です。寒冷地域の海や深海に生息するといわれており、29属334種類が確認されています。
水深の浅いタイドプールのような場所から、水深7,000mを超えるような深海と棲息している水深は幅広いです。
海底を泳ぐ魚で、吸盤のように変形した腹びれを使って海底を這っていることが多いと言われています。種類によって体長が異なりますが、大きな種類では80cmになるものもいます。
鱗の代わりに、ゼリー状の皮膚を持ち、鼻孔は1~2対あります。
水深7,485m:新種のクサウオ科の魚
恐らく、マリアナスネイルフィッシュではないかと思われる深海魚が撮影されています。
これ以降、水深が深くなるにつれて小型の魚が多くなっていき、大型の魚の姿が見えません。
水圧の関係もあり大きな魚は生きにくいのかもしれませんね。
マリアナ海溝で鯨の声が録音される?
マリアナ海溝の海底で記録された謎の音
2014年10月に、マリアナ海溝で「謎の金属音」が記録されたと話題になっていたことがあります。録音された当時は何の音が全く検討がついておらず、同年12月に録音が動画サイトにUPされ一般に公開されました。
聞いただけではよくわからないという人が多いのですが、分析をしてみるとこの謎の金属音は5つのパートで構成されているのがわかります。長さや3秒ほどで、周波数はうなっているような低い38Hz、最後の方になると7.5Hzという高い金属音に近い音で構成されているのです。
クジラの声ではないかという話もあるのですが、音がかなり複雑なつくりになっていること、鯨は低い音を発するが金属音のような高周波を出すのかは不明な点から、はっきりとした正体がつかめていないようです。
もしかしたら、深海にはまだ発見されていない巨大生物がいるのかもしれないですね。
マリアナ海溝の不思議体験
1960年にマリアナ海溝に挑戦した調査員にスイス人のジャック・ピカールという人物がいます。航海日誌の機密が解除されると同時に世間に公開されましたが、そこには不思議な体験がつづられていました。
日誌には、潜水艇の窓から巨大な円盤状の物体がみえたこと、そしてその円盤状の物体が自分たちに向かってきたと書かれていたそうです。数分後に円盤状の物体は視界から消えてしまったため、正体は未だに解明されていません。
また1980年代に、アメリカの海底掘削船グローマー・チャレンジャー号に乗っていた乗組員も不思議な体験をしています。
水深9mのところで探査機器を海中に沈めたそうですが、何かがケーブルがちぎれそうな勢いで引っ張っていたそうです。3時間かかってやっと探査機械を引き上げたのですが、機材はかみ砕かれていたそうです。噛み跡はバッチリ残っていたのですが、噛んだと思われる生物の正体は謎のままです。
マリアナ海溝は不思議がいっぱい!
マリアナ海溝はまだまだ調査途中の海溝で、発見された生物の生体もまだすべて解き明かされているわけではありません。海は地上よりも探索が進んでおらず、未発見生物の宝庫ともいえる場所ので、今後の調査でまた新たな生物が発見されることもるでしょう。
深海に棲息する生物にこれ以上ダメージが出るような汚染は進んでほしくないものですね。
(画像参照元:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/c/011900025/)
(画像参照元:http://www.gekiyaku.com/archives/42516199.html)